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武田と哲也、現在の音楽シーンについて語る
(鈴木雅之は)ステージでは良い意味で親分、ステージを降りると優しいアニキ
村上てつや(以下:哲也) 2006年から開催しているイベント『SOUL POWER』の中で、2人で組んでやってみろよ、と。僕らはそういう機会を与えてもらって、毎年『SOUL POWER』の中で、自由に遊ばせてもらっていて、急遽ミニアルバムという形で結実したんです。
――急遽と言うのは?
哲也 実は、5月中旬くらいまでそんな話は一切出てなかったんです。発端は、『SOUL POWER』のパンフ撮影の時に武田と哲也10周年だね、という話しから写真集を作ろうという流れになって、じゃあそれに、2曲くらい収録したCDもつけようと提案し、そんな話をレコード会社に相談したところ、どうせならミニアルバムにしましょうと発展した。約2ヶ月という短期間必死にやって、ここまでまとめあげました(笑)。
――2人を繋いだ鈴木雅之さんは、2人にとってどういう存在なんですか?
哲也 一番歳上のアニキみたいな。追いつくことができるかわかんないけど、同じものを見たいと思ってこの業界に入ったし。なんとなくしか見えてなかったものでも、マーチン(鈴木雅之)さんの言葉ひとつでピントが合う。そういうものを与えてくれる人です。
TAKE(以下:武田) こんなに近くて遠い背中。ステージでは良い意味で親分、ステージを降りると優しいアニキ。多くは語らず、とにかくチャンスをくれて、あとは俺の背中を見ろと言っているような。あと、良いと思っているときは、髭が笑ってます(笑)。
Skoop On Somebodyはお互いの距離感を大切にしているから、20年続けてこられた
哲也 もともと変化球で生まれたユニットですから、音楽はド直球で行きたいと思いました。僕らのなかで、一番ぴったり重なり合ったのが、メロウなソウルミュージックだったので、それを軸にしよう、と。
武田 自分たちが聴きたい音楽です。これまでは洋楽のソウルを聴いてきたけど、それを日本語で聴きたい気持ちもあって。じゃあそれを自分たちでやってしまおうというものです。
――聴きどころとしては?
哲也 つまみをお互いのほうに、ちょっと寄せたことでコーラスのブレンド具合とか、すごくうまくいきました。お互いにこれまでやってきたことを、うまく合わせることができたと思うし、ゴスペラーズでもなくSkoop On Somebodyでもない、武哲ならではのグルーヴが、短期間ながら作れた感覚があります。
武田 メジャーのシーンで活動していると、いろんな人の意見を聞いていくうちに、尖っていた部分がならされてしまう傾向にあります。そういう尖った部分を残しながらメジャーのスタッフを納得させられた。そういう意味で、どこにもないものができたと思います。どうしようもなく中二な部分……世の中の人には理解されずとも、自分はこよなく愛しているもの。そういうものを持ち寄って、くっつけたり切ったりはったりして、2人にとっての宝物にできた。このアルバムが僕らだけじゃなく、聴いてくれる人にとっても宝物になったらいいなと思っています。
――そもそもグループとしてのスタンスが違う2組ですが、互いの存在はどういうものでしたか?
哲也 友だちでありライバルであり。良い意味で、負けないようにと常に思うし。最初に出会ったときから、同じ音楽が好きというだけではない、空気とか匂いとか、同じものを感じていました。
武田 てつやは、他人のことばかり気に掛ける人。ゴスペラーズという個性派のメンバーをまとめてきたし、それぞれの声の個性を活かすキャスティング能力と、その判断の速さは、誰にもマネができないですね。
――Skoop On Somebodyは来年20周年。20年続けてこられた秘訣は?
武田 Skoop On Somebodyは、グループとはいえ個人の集まり。ユニットですね。今もKO-ICHIROと2人でやれているのは、お互いの距離感を大切にしているからだと思う。自分という確固たる存在がありながら、見えないもので繋がっている、そういう近すぎず遠すぎない絶妙な距離感と言うか。ステージ、飲んでるとき、普段、シチュエーションごとに少しずつ距離は違うんだけど、感覚を絶妙にたもってる。放っておいてほしいときと構ってほしいときの間合いの取り方が、似ているのだと思います。まず、これが合わないと難しいんですよ。特に2人の場合は。